【PS4】ニーアオートマタ(NieR:Automata)の感想。唯一無二の世界観に浸る

レビュー

作り込まれた世界観と爽快なアクション。そして目を引くキャラクターデザイン。それらを兼ね備えた作品がニーアオートマタだ。

発売前、私は前作のニーアレプリカントをクリア済で、続編である本作もとても楽しみにしていた。

しかし、不安な点もあった。

ニーアレプリカントはアクションが大味で、アクションゲームとして楽しむには少し物足りなかったからだ。

そんな不安の中で発売前に配信された体験版だったが、クオリティが半端じゃなかった。

爽快なアクションと先が気になる不穏な体験版の終わり方。そしてプレイ後にクスっとさせるセンス。

私は体験版を発売まで何度も何度も遊んだ。

そして、私は素直にこう思ったのだ。

こんなん神ゲー確定じゃん・・・

唯一無二の世界観

“命も無いのに殺し合う”

この言葉を聞いた時、ドキっとするものがないだろうか。

このゲームの最も特筆すべきところは唯一無二の世界観であることだ。

プロローグの要約

エイリアンが地球を侵略しようとやってきて、彼らの兵器である「機械生命体」に追い詰められる人類。

月に退避した生き残った人類は地球の奪還のため、アンドロイド兵士による抵抗軍を結成し、反撃を開始。

数千年の間、機械生命体とアンドロイド兵士による戦いは続くも、決定的な打撃を双方与えられずにいた。

そんな状況を破るため、人類は新型アンドロイド兵士「ヨルハ機体」を開発し、戦線へ送ることとなった。

つまり、人類VSエイリアンの戦いでありながら、機械生命体とアンドロイドが代理戦争をしている状態だ。

そして今作の主人公はアンドロイドであるヨルハ二号B型、通称2B

2Bはヨルハ九号S型、通称9Sと行動を共にして人類からくるミッションをこなしていくこととなる。

彼らは作中、感情豊かに会話するが感情を持つことは禁止されていると自ら話す場面がある。

ここで何か違和感がないだろうか。

アンドロイドである彼らは人類によって作られたモノであるが、感情を持ってしまっているからこそ、禁止されている。

実はエイリアンの兵器である機械生命体もまた、戦争中でありがながらも独自の生活圏を生成している個体もあり、そこに感情がある。

荒廃した世界で命のある存在に作られた、命のない彼らが感情を持ってしまった事が作中で語られていき、それが人間らしく振る舞えば振る舞うほど、心とは何なのかを考えさせられてしまうだろう。

※余談ですがamazarashiというバンドが「命にふさわしい」という曲を作りニーアオートマタとコラボしていて、その動画の内容が泣けるほど素晴らしいものだったのですが、現在は公開されていないようです。

テーマは深く、そして感情をえぐられるようなエピソードばかりであり、それが唯一無二の世界観をつくる事に成功している。

爽快なアクション

本作はベヨネッタなどを開発したプラチナゲームズが制作に携わっている。

ベヨネッタをプレイした方であれば、敵の攻撃をギリギリで躱すことによって周囲の時間が遅くなり、一方的に攻撃できるようになるシステムを見てニヤリとしたことだろう。

最近ではこのシステムをスイッチで発売されたゼルダの伝説でも採用している。

そしてベヨネッタに負けず劣らずなスタイリッシュなモーションは、私のプレイが上手くなったと錯覚させるほど気持ちよく動く。

まずはこの動画を見て欲しい。

モーションがかっこよすぎて私は見入ってしまった。

攻撃をする前にはきちんとした予備動作があり、攻撃した後の反動を利用して次の攻撃に移行するのが見て取れる。

そして攻撃中の姿勢や剣を投げてから受け取る時の手の動きなどを見ても、理にかなっているのがわかる。

ただ腕でブンブンと剣を振っているのとはわけが違う。

こういった細かいモーションのこだわりがプレイヤーに爽快感を与えるのだ。

このクオリティは凄すぎる

純粋に良いと感じるキャラクターデザイン

2Bのキャラクターデザインを見た時、私は奇跡のキャラクターデザインだと思った。

顔には布のようなもので目が隠されていて、スリットの入ったゴスロリのようなドレスにロングブーツハイヒール。

もし、2Bのキャラクターデザインを文面だけで説明するとこんな事になってしまうのだが、その姿が荒廃した世界にとてもマッチして違和感がない。

こんな事ってある?

海外のファンが本作のディレクターであるヨコオタロウに「2Bはなんでハイヒールを履いているの?」という質問を投げかけた。

そうなのだ、ハイヒールだとそもそも戦いにくいじゃないか、そう考えるとスカートなのもおかしいし・・・と凡人の感性で考えていたのだが、ヨコオタロウの回答はシンプルかつ驚くべきものだった。

「私が好きだから」

私は驚いた。キャラクターデザインを作る際にある程度の設定やロジックは存在するだろう。

しかし、そんな設定やロジックを飛び越えた、「好き」というものがこの奇跡のキャラクターデザインを生み出したのではないかと思った。

荒廃した世界で機械生命体と戦うアンドロイドをこの姿にしたことは、他の作品にはないオリジナリティだ。

世界観をフルに活かしたインターフェイスとシステム

ユーザーインターフェースは主人公がアンドロイドであることを活かしており、ローディング画面ではシステム起動中と表示され、まるで2Bが目覚める前の起動画面のようである。

システムに関してもスキルを得るにはチップを装着する必要があり、その容量が決まっていたりとあくまで「アンドロイドだからこうなる」という事を前提につくられていることがわかる。

本作はオープンワールドを採用しており、徒歩や走りなどで移動すると時間がかかりすぎるため為、ファストトラベルをする事ができる。

このファストトラベルの設定が面白いのだが、転送するのは実は転送されたアンドロイドの記憶だけである。

つまり、転送する度に体は変わっているという事になる。また、戦闘で敗れた時も体はその場で壊れ、記憶が新たな体へと転送される。

こういったアンドロイドだからこうなる、という設定が随所に取り入れられており、それがたまらなくかっこいい。

インターフェイスとシステムと設定が噛み合ってて最高!

ニーアオートマタの感想まとめ

ニーアオートマタは他のどのゲームに似ておらず、更にゲームとしてのクオリティが高い。

賛否両論のあるストーリーのギミックや、アクションとシューティング要素が入り乱れる特殊な部分は強いクセがある。

しかし、そのクセを無くしてニーアオートマタはニーアオートマタとなり得なかった。

ゲームクリエイターが我を通し、そしてそれがファンに受け入れられたのであればそれ以上素晴らしい事はない。

このような作品に出会えた事は私の人生にとっての幸運だ。

報告:注意

ピュアな心を持つ男子達へ

2Bのスカートの中を覗こうと努力を続けていると君のマシンに消えない傷をつけることになるだろう。

そして私のPS4には消えない傷がついていることも報告しておく。