夏ということでホラーがやってみたくなった私はたまたまスイッチでセール中だった返校に手をだした。
結論から言ってしまえば心の底からプレイしてよかったと思えるほど最高でした!
ぜひ興味を持っているけど後一歩、踏み出せない方がいたら手にとって欲しい。
舞台は1960年あたりの戒厳令がしかれている台湾
あまり歴史に興味はない人は戒厳令ってなんのこっちゃって感じだと思うんですけど、要は戦争などの非常時だと国民に好き勝手されると国がまとまらなくなっちゃうから、普通の法律なんかをストップし、軍のルールに従わせるという異常な命令のこと。
まぁ、誤解を恐れずに言うと現代の北朝鮮とか中国のような状態だね。
国の悪口を言ったら殺される。国にとって都合の悪いものを見たり聞いたりしたら逮捕とかそんなレベル。
まずこういった戒厳令があった時代ということを理解しないと本作の魅力は半減する。
この時代背景だからこそ起こり得た事実と虚構が入り混じったような世界観が本作最大の魅力だからだ。
謎解きは程よい難易度
本作のジャンルは謎解きアドベンチャーに分類されるものだ。
気になるオブジェクトを見つけたら調べて、その時に表示されるヒントを元に進んでいく。
私は攻略情報を一切見ることはなかったけども、滞りなくクリアすることができた。
しかし、簡単すぎるとも思わない。考えて答えを見つけ出した時の爽快感はゼルダの伝説ブレスオブザワイルドの祠の謎解きに通づるものがあった。
序盤はホラーだが徐々にアート的表現がでてくる
本作はホラーとして紹介されることが多いのだが、実はホラー要素だけを冷静に見た場合は、昨今のバイオハザード7に代表されるリアル系ホラーを体験している人にとっては物足りないと思われるかもしれない。
それでも私はこの作品は怖いと言い切れる。本作の魅力はホラーのみに特化した表現ではなく、あらゆる想像を促すような表現にある。
じわじわとプレイヤーに悪い想像をさせ、その想像のちょっと斜め上の出来事を起こす。これによって他のゲームとは一風変わった恐怖を生み出している。
さらに基本的に彩度の低い世界で進んでいく中でいきなりカラフルな世界が現れたり、ありえないオブジェクトの集合体があったりとどことなくシュールレアリズムを感じさせる部分もあり、アート的に美しい場面もあった。
そういった恐怖とアートを融合させ、なおかつ物語的に破綻させていないストーリーテリングこそが本作に圧倒的な個性を与えている。
返校 Detentionの感想まとめ
台湾の歴史や文化に触れつつ、主人公の女の子の複雑な心情をホラーとアートで表現した傑作。
ガッチガチのホラーを期待していると肩透かしを食らうかもしれないが、それを差し引いてもプレイする価値がある。
尚、クリア時間は3時間程度で短いが、物足りないという感じではなく濃厚でなんとも言えない後味が残る。
まるで切ない映画を見終わった後のような感慨を味わうことになるでしょう。
あなたがこのゲームに使う3時間はあなたの人生にとってとても有意義なものになることをここにお約束する。
ちなみに本作のゲーム実況もやりました。
興味があったら是非ご覧いただきたいのですが、できれば最後までは見ずにあなた自身でクリアして欲しい。